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長引く咳について④

こんにちは、いがらしクリニックです。これまでは3週間未満の急性咳嗽についてお話ししました。咳にも「ガイドライン」といってどのような病気を考えて咳の治療するかといった指針があり、いままでは2012年に発刊されたガイドラインを参考にしながら診療にあたっていました。このたびこのガイドラインが2019年に改定されます。今回は「咳」だけではなく「痰」にも言及されております。いままでは3週間以上続く咳を「遷延性咳嗽」、2ヶ月以上続く咳を「慢性咳嗽」と位置付けてきましたが、今回は3週間以上続く遷延性・慢性咳嗽として対応していくことになります。「遷延性」ってわかりにくですもんね。

この3週間以上長引く咳に関しては、「痰」を認めるか認めないかによって病気(疾患)を考慮していくことになるのですが、「痰」がひっかかった感じはあるものの実際「痰」がたくさん出るわけではないこともあり、詳しくお話しを伺う必要があります。具体的には、痰を認める場合「副鼻腔炎」や「副鼻腔気管支症候群」などの鼻の病気も考慮します。副鼻腔炎というと、いわゆる蓄膿症を思い浮かべると思いますが、感染(細菌など)が炎症の主体である場合と、好酸球(白血球の仲間です)といって、喘息なども引き起こすアレルギー主体の副鼻腔炎も存在します。ドロドロした汚い鼻汁、鼻づまり、頭痛や鼻の周りの顔面の痛み(頭重感)、発熱などは感染症を示唆します。おでこや眼の下あたりの痛みがある場合や長引くとにおいを感じなくなったりすることもあり要注意です。治療法は症状を抑えながら経過をみたり、必要時には抗菌薬を処方します。好酸球性の副鼻腔炎は同じ好酸球性の気管支炎といってもよい気管支喘息と合併することが多く、場合によっては手術を考慮しなければならない場合もあり、耳鼻科の先生に相談したり、レントゲンだけではなくCTを撮影したりすることもあります。ひとことで「副鼻腔炎」といっても、気管支喘息が隠れていないかまで考慮する必要があるのです。

次回は痰が絡まない、いわゆる「空咳」について説明いたします。

 

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